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2009年12月26日土曜日

49番

これは一時期タバコを吸っていたときの話。


仕事が遅くなったので、普段行かないファミレスへ行ったら、絵に描いたような慇懃無礼な店員がいた。

言葉遣いは決しておかしくないのだが基本的に無表情で早口である。

タバコを吸うといったら「あちらの2列の席へどうぞ」と言う。
2列の席へどうぞ?手で示した方には4人がけの席が二つあいていた。
この2つの席のどちらかに座れということか。


一番端の席にしようとしたらそこはトイレのすぐ脇だった。
私は飲食店へ行くと狙ったかのようにトイレ脇の席に座ることが多い。
トイレ脇はアレか、でもいいや、と座ろうとすると、席に前の客が使った灰皿とコップが残っている。

なんだよこんな席すすめんなよと思って隣の席にすわる。


注文するとビールはすぐに来たが食べ物がなかなか来ない。
どうせ冷凍かなんかをチンしてるだけなんだろうに遅ぇなァと思っていると
ようやく持ってきた。


すると、店員が「そちらのメニューを閉じていただけますか」とやはり無表情に早口で言った。
テーブルの上に大きく広げてあった「おすすめメニュー」などと書かれたものの事である。


それは決して私が広げたのではなく最初からそういう風においてあったのである。
まるでテーブルクロスのように。


てめぇで閉じろよと思ったがしぶしぶ閉じた。
わたしはみるみるうちに不快になっていき、
顔が般若風に変貌していくのがわかった。


近くに大学生と思われる4人が、甲高いネチネチした声で
内容は全く覚えていないがとにかく不快な話をしていた。

疲れと酔いでイライラがつのってきて、

やがて私は「キメーんだよおまえら」と声にだしてつぶやき始めた。
何度も何度も。

隣の席のカップルが席を立った。
俺のつぶやきが気持ち悪かったのかもしれない。

大学生達は少し離れているのでさすがに聞こえないだろう。
相変わらず気持ち悪い話をしている。

私の飲食店での滞在時間は非常に短い。
食事が全部なくなったらすぐ席を立つ。

レジに行くと誰もいない。

座席においてあるのと同じ呼び出しボタンを押す。
さっきの店員が出て来て慇懃無礼に会計をすませた。


すっかり機嫌を悪くして店を出ると、その前にあるセブンイレブンで、タバコを買う。


最近は銘柄がバカみたいに多様化してライトだのメンソールだのスーパーライトだのいろいろあり、
番号を指定して買っているのは知っていたが、
自分はかっこよく「マルボロ」とぼそっと、「ライトだのメンソールだのそんなの吸うわけねえだろ一番きついマルボロだよボックスとか紙とかめんどくせえんだよどっちでもいいからよこせよ」というニュアンスをにじませながら買いたかったのだが、やっぱりずらりとならんだ多種多様なたばこ群を目の前にするとそれはできず、さっきみたいな慇懃無礼な店員で面倒なことになるのもイヤなので、おとなしく


「49番」

と番号を指定してマルボロを買った。