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2010年8月16日月曜日

お詫びする少女

昨夜東京駅から藤沢まで東海道線のグリーン車に乗った。空いていたので2階建てになっていない入り口のすぐ側の席に座って音楽を聴きながらオニギリを食べていたら後から乗ってきた女性客の声で音楽が聴こえなくなった。驚いて振り返ると二人の女性が興奮状態でのべつ幕なしに何かしゃべっている。まじまじと見つめる私のことなど気付くそぶりもない。私は席を立って、隣の車両の1階へ移動した。1階の乗客は2、3人だった。私は真ん中あたりの席に座って中断した食事を続けてまた音楽を聴いていた。電車が動き出し、私は音楽を聴いていた。ときどき、小さな男の子が何か言うのが聞こえる。気にならないこともなかったが時節柄しょうがないかなと我慢していると、しばらくすると男の子が奇声をあげはじめた。イヤホンを外して車内を見回すと男の子は席の上にたって窓から外をながめワーキャー叫んでいる。姿は見えないが男女の大人が「シーっ」「静かにしようね」などと言っているのが聞こえるが男の子の奇声はなかなかやまない。やがてその奇声に応じるかのように、後ろのほうから女の子が大きな声でしゃべりだすのが聞こえてきた。やがて男の子の奇声はやんだが、少女達の興奮はおさまらず、歌まで歌いだした。いくら夏休みだろうがお盆だろうが車内で歌を歌うのはいかがなものかと私はイライラし始めたが、周囲の乗客は特に苛立つ様子もない。だが私がもぞもぞ動いたり頭を手でかいたりするのが見えたのだろうか、後ろからお母さんが低い声で「静かにしなさい」と言うのが聞こえたが少女はなかなか静かにならない。次の停車駅が藤沢であるという表示が付くと、そのお母さんが「もうすぐ降りるわよ」と言ってしばらくしたら、歌っていた女の子が大声で泣き始めた。わたしはその泣き声になんのためらいもはじらいもなく自分の不快を全面に押し出していることにある種の感動すら覚えてイライラを通り越して軽く噴出し、足を組み替えた。そのとき、私の足が前の席の下部の金属部分にあたり、「パキッ!!」というようなかなり大きな音がした。そのつもりは全くなかったが『うるせえな』の意思表示とうけとられても仕方のないタイミングだった。電車が速度を落とすと、通路を1人の女の子が通り過ぎた。その後に続いて歩いてきたもう1人の女の子が通り過ぎるときに私にむかって神妙な顔をして「うるさくてすみませんでした」と言った。わたしが不意をつかれて驚いているうちにお母さんがもう1人の女の子を抱えて無言で通り過ぎた。私も彼女達の後に続いて降りた。女の子は3人いた。下から2歳、4歳、小学生というところだ。私に謝った長女と思われる子はどうみても小学校低学年である。末っ子を抱いた母親と次女はエスカレーターに乗ったが長女は誰もいない階段を駆け上っていった。わたしもその後に続いてゆっくりと階段を昇った。