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2011年10月31日月曜日

動画論

携帯端末での動画視聴の問題というかテレビや映画などとの違いをもう一つ見つけた。
それは、一人で見るということである。一人暮らしの人が自室でテレビを見るのも一人であるが、携帯端末での視聴はそれよりもっと私的な視聴である。なぜなら、携帯端末を持って外出するということは、たとえそれが一人での行動であっても、周囲に人がいて、多少公的な態度をとるべき状況である。その状況で、あえて自室にいるときと同じように動画を視聴するというのは、異常とさえいえる私的さである。

先ほど私は「笑点」を例にあげたが、たとえば携帯電話で「笑点」を見るという状況を考えてみよう。日曜の午後5時半である。その時間に外出している。しかし、画面を見るのだから歩くことはできない。道端に立って30分間イヤホンをして画面を見て笑っていられるだろうか?普通の人なら恥ずかしいと思うだろう。

電車に乗って座っている時に見るということはあるだろう。しかしそれには日曜の夕方5時半から30分間電車に乗り続ける状況が必要になる。喫茶店などに入って見るか。いずれにしても、そんなことをするなら5時半までに家に帰ればいい。
録画したものを見るというなら、なおさら家で見ればいい。

テレビがつまらない、ネットが放送に取って代わる、というような事が言われて久しいがまだまだテレビは多くの人に享受されており私はネットがテレビに取って代わることなどないと思っている。テレビとインターネットは全く異質なのである。どちらも大勢の人に動画を提供するが、インターネットがテレビと決定的に違うのはよく言われるように「オンデマンド」であることである。オンデマンドという言葉は長所としてしか使われないが、それはネットによる配信の欠点でもある。自分が見に行かないと見ることができないのである。

一方テレビは受信者の都合におかまいなしに一方的に放送する。受信者にできるのは放送局を選択するか、電源を切って全く見ないかだけである。そして、これまた重要なのが、たとえ受信者がチャンネルを変えても、依然としてその番組は放送され続け、誰かがそれを見ているということである。

最近はネットでもストリーミングとかいう、テレビなどの放送と似たような配信方式が利用されている。だがこれも、テレビと大きく違う点がある。すぐに思いつくのは2つだ。ひとつは、テレビと比べて「チャンネル」数が膨大であること。これは長所というより欠点である。つまり誰でも彼でも、どんなにくだらないものでも私的なものでも、インターネットでは放送として成立してしまう。その中から本当に面白いものを選択して視聴するためにはなんらかの番組選択システムが必要になる。

もうひとつは、ストリーミングでは視聴者が増えるほど放送の品質が低下することである。テレビにはないことである。テレビでは視聴者は多ければ多いほどよい。