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2012年8月30日木曜日

えいじ君とまさお君

ある女性タレントが妊娠して、お腹の中の子にダウン症の疑いがあるが産むつもりだ、というニュースを見た。

子供を生むには高齢な女性がダウン症の子供を産む確率はかなり高いそうだ。
具体的な数値は忘れたが、最近ちょっとしらべて驚いた。

私にはよく知っているダウン症の人がいる。
彼は小学校の時、ひとつかふたつ下の学年の子だった。
えいじ君という。
本名である。
たしか漢字で栄治と書く。

えいじ君は、いわゆる「特殊学級」にいた。私の学校では「伊藤学級」「渡辺学級」とかいう、担任の先生の名前のついた学級だ。学年や組番号はない。
私は4年生のとき1組で、4年1組のとなりの教室がたしか伊藤学級だった。
そこにはえいじ君のほか、10人くらいの生徒達がいた。
私は当時はえいじ君がダウン症であるとは知らなかった。
言葉がしゃべれないし行動もおかしいので、何かの病気であろうとは思っていたが。

大学生のとき、ある人に、「ダウン症はみんな同じ顔になる」ということを聞いた。
そしてその顔こそ、えいじ君の顔だった。
バスの中でえいじ君そっくりな顔の子を見て驚いたことがあったが、
ダウン症の子は特徴的な顔をしていて、発見当時はそれがモンゴル人のような顔なので、
「mongolian idiocy(蒙古痴呆症)」などと呼ばれたそうだ。

それを知ったときにはもうえいじ君のことも忘れていた頃だった。
今彼がどうしているのかは知らない。

えいじ君のことを思い出すと、もうひとり、やはり「特殊学級」にいたまさお君を思い出す。
まさお君は私と同じ学年である。彼もほとんど言葉を発することができず、よだれをたらしたり、誰が見ても正常ではないとわかる。


まさお君は、私が30歳の頃、見かけた。

彼は背格好は年齢相当で普通である。ぱっと見は30歳くらいの男性である。
しかし、彼はやはりうつろな表情で、幽霊というかゾンビのように、歩いていた。
畑の中の道で、石を投げたりしていた。

たしか私はそのときタクシーに乗っていたと思う。

まさお君は常軌を逸した行動をするのだが、内向的というか臆病なようなところがあって、
他人に危害を加えるようなことはまったくなかった。石を投げたりするときも、絶対に人に向けて投げることはなかった。


その時も、彼は人通りのない道で、誰もいない畑に向かって力なく、落とすように石を投げていた。

顔はやつれていた。


親御さんはどうしていたのだろうか。


彼は小学生の頃から、いつも一人でふらふらしていた。

だからみんなが「まさお、まさお」と言って、おもしろがっていた。

いじめのようなことをする生徒もいた。

私もそれを見て笑っていた。



彼らは今どうしているだろう。
もう40歳を超えている。

えいじ君やまさお君は今どうしているだろう。