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2012年9月22日土曜日

独裁者

ひょんなことから北朝鮮について調べた。
別に仕事でもなんでもなく、純粋に興味を持ったのである。
今まで北朝鮮といえば、金正日、金正恩くらいしか知らなかった。
が、ニュースで見る映像や写真の周りにいる人が気になったのである。

きっかけはpicasaの顔認識機能であった。
たまたま保存してあった北朝鮮関連の映像の写真から、勲章をたくさんつけた老いた軍服姿の人物などの顔が抽出された。

独裁国家といっても、組織があって軍隊や党を統率する人間がいる。下っ端役人もいる。
その人事について話題にもなる。
日本で誰が総理になるとか大臣が辞めたとかニュースになるように。

北朝鮮の軍人や役人や幹部たちも、毎日寝起きして食事をしている。
「将軍様」に指示されたり、自分から提案やアドバイスをしたり。
おそらく後者の方が多いだろう。
顔写真を見ていても、ごく普通の、頭のよさそうな日本にいれば優秀なビジネスマンになったであろうような顔ぶれである。
なかにはゾっとするような冷徹そうな人物もいないこともないが・・・。


そして、北朝鮮の歴史をさかのぼるように調べていった。
北朝鮮は1948年に「建国」された新しい国であるから歴史といってもたいしたものはない。
ただ、北朝鮮を他の国々と同様のくくりで捉えるのは少し無理がある。

これは北朝鮮に限らず、私は最近痛感しているのだが、「日本」、「アメリカ」、「中国」を同じ「国」という概念で並列して扱うのはムリがあると思う。

特に、「アメリカ合衆国 (United states of America) 」については、世界で唯一の特殊な存在である。アメリカが「世界の警察」になっているのには理由がある。これはまたの機会に述べたい。


北朝鮮というのは1948年にポコっと突然現れた国ではない。そこに暮らしていた人々が急に独立心に目覚めたわけでもない。朝鮮半島で仲間割れが起きたのでもない。

北朝鮮の歴史を調べよう、と思って、あらためて当時日本が朝鮮半島を統治していたということを思い出す。

日本が戦争に負けて撤退する。
するとまるで朝鮮半島を米ソが奪い合うように南北で「建国」が起きて、2国間で戦争が起こる。
この戦争は「米ソ」、事実上は「共産主義と自由主義」の対決だと、理解されている。


というわけで北朝鮮について調べていくと、スターリンに行き当たる。
北朝鮮でも粛清や強制収容所の話があって恐ろしいなと思ったものの、スターリンのおこなった粛清の前には茶番に見える。
というか、逆にスターリンの粛清の方が大規模すぎて現実感がない。

スターリンに関するwikipediaの記述を一通り読んで、呆れて、いったいどうしたらこんな人間が生まれるのか、どうしたらこんな人間が一国を支配し、世界を股にかけて活躍するのか・・・・と不思議に思う。

そして、どうして「共産主義」というものがあんなに猛威をふるって各地に独裁者を生み粛清や虐殺をおこなわせたのかと、あらためて考える。

もはや、怒りすらわかない。ただただ、不思議だと思うばかりである。
ナスカの地上絵とか、ピラミッドとか、イースター島のモアイ像などのように、
不思議な、理解を超えたものである。


おそらく、そう感じるのは大勢の人間が、個々がそれぞれ独自に考えて行動した結果引き起こされた事件を、あたかも一人の人間が意図して計画して実現したかのように、後世の人が勝手に思い込むからだ。

独裁者達は確かに存在して、自分たちの偏狭なあるいは未熟な思想を実現しようとしたのだろう。しかし、独裁者といっても一人の人間だし、たくさんの部下を使って、自分もかつては誰かの部下であったり使い走りのようなことも経験し、人に使われ人を使って、親もいるし恋もするし、結婚して子供をもうけたりもしたのである。

独裁者とはいえ、世の中思うままにならないなあと思っていただろう。
自分が独裁者だなんてとんでもないとさえ思っていたかもしれない。
「自分は世界で一番惨めで弱い人間だ」と。


今回北朝鮮について調べてみて、ニュースで騒がれる金正恩の周りにはたくさんの「優秀な」ブレーンがいて、実際には彼らが実務をおこない国を、世界を動かしているのである。「独裁者」と言われるような人間も同様である。おそらく、独裁者であればあるほど、自分は何もしないのだろう。

もしかしたら、「独裁者」というものは、そのときの混乱の責任を負わされただけなのかもしれない。
あるいは、その混乱を巻き起こした張本人なのかもしれない。
だが、やはり、ただ一人の人間に、何百万人もの人間をアリでもふみつぶすように殺すことなどできるものではない。そういう粛清や虐殺を引き起こす原因は、一人の独裁者以外にいくつかあるはずである。むしろ独裁者はそれらの複数の条件が整ったところに自然に湧き出てくるようなものではないか。

過去の独裁者列伝を見ているとそんなふうに思えてならない。